ミステリー文学資料館は、世界でも珍しいミステリーの専門図書館として1999年4月に開館しました。このような図書館は、フランスのパリ市がオープンしたBILIPO以外にはほとんど例がありません。本資料館は日本の有力出版社の光文社が作った財団法人光文文化財団の主要事業の一つとして創設したもので、民間のミステリー専門図書館としては世界でもおそらく初めての試みです。
日本のミステリーは戦後、松本清張の登場によって、小説の分野で完全に市民権を確立しましたが、戦前は探偵小説といわれ、一部の熱烈な愛好者に支えられていましたが、その文学的な評価は低かったたのが実情です。このため、公共図書館では保存されず、単行本も雑誌資料もそのの多くが散逸してしまい、古書店で値段が高騰し、一般の人だけでなく、研究者も実物を手にすることが困難になっています。
本資料館は、こういう現状を打破し、ミステリーに関心を持つ作家、研究者、一般読者のために、これらの資料を収集保存し、閲覧に供するために設立されたもので、入館者は、他の図書館ではなかなか手にすることのできない、戦前戦後の探偵・推理雑誌、研究書、書誌などの参考図書を自由に閲覧できます。また、数は限られていますが、有名作家の手書き原稿なども収集・保管しております。